ドライアイとは
ドライアイは、涙の減少・質の変化などで、眼の表面に障害を及ぼし、眼の不快感や視力低下が生じる疾患です。
患者数も約2,000万人以上(国民のおよそ6人に1人がかかっている)と言われます。
スマートフォンやパソコンの普及に伴って”長時間モニター画面を見る”といったライフスタイルの変化が起き、近年増加傾向にあり、こうしたことから「現代病」と言われています。
ドライアイの原因
涙の分泌量不足と、涙の質の低下、脂の質の低下(マイボーム腺機能不全)が主な原因です。
ドライアイは、眼の乾きだけではなく、見え方を悪くしたり眼の健康に重大な影響を及ぼす為、注意が必要です。
涙の構造
私たちの涙は、ムチン層・水層・油層の3つの層で構成されています。これらのいずれかに異常が起こることで、ドライアイを引き起こします。
涙の3つの層を正常に保つために大事な役割を担っているのが「瞬き」です。集中して物を見ると、瞬きの回数が減ってしまうため、パソコンやスマートフォンの長時間の使用には注意が必要です。
ムチン層
角膜と涙を接着し、涙を安定に保つ役割を果たす粘液性の分泌物がムチン層です。
また、眼表面に涙を均一に行き渡らせる役割も担っています。
結膜上皮細胞から分泌されます。
水層
涙のおよそ95%が水層です。たんぱく質・カルシウム・カリウム・ナトリウム・酸素など豊富な成分が含まれているので、角膜の栄養補給と保護の役割を担っています。
主に、上まぶた裏側の主涙腺から分泌されます。
油層
まばたきの瞬間に涙の表面が油分に覆われることで、蒸発するのを防ぎます。
マイボーム腺から分泌されます。
加齢にともなって、このマイボーム腺機能が低下すると、ドライアイになりやすくなります。
涙の流れ
涙は主に、主涙腺で作られます。上まぶた外側にあり、主涙腺から出てきた涙は、眼の表面を潤すとおよそ10%は蒸発します。
その残りの涙は、目頭の上下にある小さな涙点と呼ばれる穴に流れます。
そのあと、涙小管、鼻涙管を通って(こういった涙の排出される管系を涙道といいます)鼻腔へと流れます。
涙の働き
傷つきやすく、デリケートな眼を外界の異物や菌から守る役割をしているのが涙です。
眼を正常な状態に保つには涙は欠かせません。
涙の働きは、以下の通りです。
- 眼の表面を外界の異物から守り、乾燥を予防する
- 角膜に栄養を補給する
- ものが鮮明に見えるように、角膜表面をなめらかにする
- 眼にばい菌が侵入するのを防ぐ、感染を予防する
- 眼に入った異物やほこりなどを洗い流す
ドライアイの身体への影響
以下の項目に5つ以上当てはまる方はドライアイの可能性があります。
- 眼が疲れる
- 眼が乾いた感じがする
- 眼が痛む
- 眼が痒い
- 白い目やにが出る
- 眼が重たく感じる
- 眼に不快感がある
- 理由もなく涙がたくさん出る
- 物が霞んで見える
- 眼が赤くなる
- 光が眩しく感じる
- 眼がショボショボしたり、ゴロゴロしたりする
ドライアイの検査
①視力検査
視力を測ることで、ドライアイだけでなくほかの眼の疾患の有無を調べます。
②細隙灯顕微鏡検査
涙の量・涙点・マイボーム腺機能不全の有無を検査します。
涙そして角膜の傷の部分を染めることが出来るフルオレセインという試薬を点眼し、細隙灯顕微鏡検査で詳細に観察することですることで、より詳細な診断が出来ます。
③涙液層破壊時間
涙の質によっては、たくさん出てもすぐに乾いてしまうことがあります。
眼を開けてから涙の膜が破壊されるまでの時間を測ることで、ドライアイの有無を調べます。
④シルマー検査
涙の量を調べます。試験紙を下まぶたの端に挿入して検査を行います。試験紙には目盛りがあり、涙で濡れた長さによって涙の量を測ります。
長さ5mm以下だとドライアイが疑われます。
※全身疾患が疑われる場合は、血液検査を行うことがあります。
ドライアイの治療
①点眼薬を用いる治療
- 人工涙液
涙を補う点眼薬です。さしすぎに注意が必要です。 - 角結膜上皮治療用点眼液
眼表面の水分を保持し、角結膜上皮障害を治します。 - ドライアイ治療用点眼液
ドライアイ治療薬として、ジクアス・ムコスタ点眼薬があります。 - ステロイド点眼薬
上記の点眼薬であまり効果が得られなかった場合には、低濃度ステロイド点眼薬を処方しています。
②涙点プラグによる治療
点眼薬での治療を行っても効果が得られなかった場合、涙点閉鎖の治療を行うことがあります。涙点とは涙の排出口で、涙点を閉鎖することで涙の流出を抑え、眼の表面に涙を溜めておく治療法です。
涙点に、シリコンなどの合成樹脂製の涙点プラグを挿入する方法と、涙点を縫い合わせる涙点閉鎖術があります。
③IPL (Intense Pulsed Light) 治療(自費診療)
特殊な light(光)をあてることでマイボーム腺の詰まりを解消し、炎症を改善、涙の油層を正常化しドライアイを改善します。
• 炎症を抑える効果
• マイボーム腺のつまりを溶かす効果
• デモデックス(顔ダニ)を減少させる効果
• 肌のコラーゲンを再生する効果
伊丹中央眼科では専用の高度機器(美容治療のフォトフェイシャル M22IPL)を用いて治療を行っています。治療の詳細については下記URLをご参考下さい。
最新のマイボーム腺機能不全(MGD)の治療(LIME研究会) https://www.lime.jp/public/newtreat.html